アフガニスタンの遊牧民はなぜ冬にクンドゥーズ(Kunduz) へ移動したのか? Google Earthでたどる冬営地(キシュラック)

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※ 冬営地(キシュラック)のイメージ画像です。実際のクンドゥーズ周辺の写真ではありません。

アフガニスタン北東部の遊牧民は、冬の寒さを避けて家畜を守るため、毎年クンドゥーズ周辺の平野へ移動していました。本記事では、その理由を地形と気候の視点からGoogle Earthでたどります。

1 クンドゥーズの場所を確認

冬になると、北東アフガニスタンの遊牧民の一部はクンドゥーズ(Kunduz)周辺へ移動し、冬営地(キシュラック)を営みます。

クンドゥーズ(Kunduz) はアフガニスタン北東部に位置する都市で、2012年時点の人口は約26万人とされ、アフガニスタン北部ではマザーリシャリーフに次ぐ規模の都市です(Wikipediaより)。

まずは地図で場所を確認してみましょう。
クンドゥーズは首都カブールから北へ約250km(直線距離)に位置し、アム・ダリア川に近い北部平野にあります。南側にはヒンドゥークシュ山脈やコー・エ・ババ山脈を含む中央高地が広がっています。

図1 クンドゥーズ(Kunduz)の位置と周辺地形。
地図は Wikimedia Commons「Afghanistan physical en.png」(Sommerkom、CC BY-SA 3.0)をもとに加工。

約250kmという距離は、日本でいえば東京から浜松市までの直線距離に近い規模です。ただし、実際にはその間にヒンドゥークシュ山脈が横たわっており、日本の平地を移動するのとは大きく条件が異なります。

2 クンドゥーズの気温を日本と比べてみよう。

北東のアフガニスタンの遊牧民にとって、クンドゥーズの1月の平均気温は約4℃で、日本の福島市や金沢市に近い水準です。しかし、標高の高いバーミヤーンでは1月平均が約-10℃となり、北海道内陸部にも匹敵する厳しい寒さになります。そのため、遊牧民は冬になると比較的穏やかなクンドゥーズ平野やアム・ダリア川沿いへ移動し、家畜を越冬させていました。

3 冬営地(キシュラック)とは?

遊牧民たちは、ヒツジやヤギを越冬させるため、北部に広がるアム・ダリア川流域の平野へ移動しました。この冬の居住地や放牧地のことを「キシュラック(冬営地)」と呼びます。

クンドゥーズ周辺は、冬でも比較的温暖であることに加え、水場を確保しやすく、数千頭に及ぶヒツジやヤギを放牧できる広い平野が広がっています。そのため、アム・ダリア川流域は冬営地として適した条件を備えていたと考えられます。

4 Google Earth を使って、実際にクンドゥーズのキシュラックを見てみよう。

クンドゥーズにはアム・ダリア川の支流であるクンドゥーズ川が流れており、その周辺には農地や緑地が広がっています。乾燥したアフガニスタン北部の中では、比較的水に恵まれた地域といえるでしょう。

さらに北北西へ進むと集落が点在し、その先にはアム・ダリア川流域の広大な平野が広がっています。

松井健氏の記述によれば、北東アフガニスタンのドゥッラーニー系パシュトゥーン遊牧民は、冬になるとクンドゥーズ周辺へ移動して越冬を行いました。Google Earth で周辺を観察すると、水場の確保が容易であり、ヒツジやヤギの群れを収容できる広い土地が存在することが分かります。

そのため、クンドゥーズからアム・ダリア川流域にかけての平野は、遊牧民の冬営地(キシュラック)として利用されていた可能性を想像させます。

まとめ
Google Earthで実際の地形を眺めてみると、遊牧民の季節移動は昔から続く習慣というだけではなく、水や牧草を求めて自然とともに暮らすための知恵だったことが見えてきます。そして、そのような暮らしの中から育まれた羊毛や手仕事が、今日私たちが目にするアフガニスタン絨毯へとつながっているのかもしれません。

参考文献
松井 健『遊牧という文化―移動の生活戦略』吉川弘文館(歴史文化ライブラリー109)
松井 健『西南アジア遊牧民族記』歴博ブックレット15
※ 本記事は、松井健氏の著作や公開資料、地図資料、Google Earthを参考にしながら、筆者が理解した内容をもとに作成しています。

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