アジア各地で生産された絨毯を「オリエンタルラグ」などと呼ぶことがありますが、アフガン絨毯(アフガニスタン絨毯、アフガンラグ)もペルシャ絨毯もこのオリエンタルラグのひとつとして区分されます。
アフガン絨毯とペルシャ絨毯は、どちらもオリエンタルラグのひとつ
オリエンタルラグにはアフガニスタン、イラン、パキスタン、トルコ、インド、中国などの国で作られたカーペットが含まれており、アフガン絨毯はアフガニスタン周辺、ペルシャ絨毯は主に旧名ペルシャ、現在のイラン周辺で作られているものを指します。
オリエンタルラグは主に各地の部族にそれぞれの起源がありますが、アジア一帯での染物・織物文化の中で技法や素材に共通性を持つものや、独自性により高い評価を得られているものなどさまざまです。
そして、アフガニスタンの絨毯とペルシア絨毯の違いは、主にデザインにより識別されます。
アフガン絨毯とペルシャ絨毯のデザイン
ペルシア絨毯はわたし達日本人がよく知るデザインとしてナインやカシャーン、イスファハン、タブリーズ等その土地特有のデザインがあります。
それらは、非常に色彩豊かで華やかなものから、反して和室に似合う落ち着いた色の絨毯まであります。
また最近ではイランの遊牧民が織る毛足の長いギャッベもイラン内(ペルシア)で織られたものです。
では、アフガニスタンは?となると、北はトルクメン人が織る赤の絨毯が有名です。
また、南西部で暮らすイラン国境沿いの遊牧民バルチー部族やタイマニ部族が織る茶褐色や赤、濃紺の遊牧民らしいざっくりとした織りの絨毯があります。
その他、アフガニスタンには、ハザラ、タジーク部族など様々な部族が織る絨毯もあるかと思います。
古代アフガン人は今日のアフガニスタンにおけるパシュトゥ語圏に居住し、言語分布の記録によるとパシュトゥ語はアフガニスタン北東部のジャラーラーバード北部から南方のカンダハール、カンダハールから西方のファラーおよびセブゼワールにわたる地域で話されていたとされる。
この地域はインド、中東、中国、中央アジアの交通路であり、アフガニスタンはイラン、インド、中央アジアの文化から影響を受けることになる。
アフガニスタンの歴史 – Wikipedia
アフガニスタンはペルシア帝国の影響やインダス文明の影響、騎馬民族のモンゴルの影響、中国の影響とすべての文化・文明が交差する立地である国でした。そのため、ペルシア絨毯の影響もアフガニスタンへは伝わっています。
大きく捉えるならば、ペルシア絨毯の一部として見てもよいのではないかと私は思います。
アフガン絨毯の特徴となる「赤」
アフガニスタンの絨毯といえば鮮やかな「赤」の色あいが特色です。
シンプルな色数で構成されたデザインに映える「漆黒の赤色」がペルシア絨毯にはない色の深みを楽しむ絨毯と言えるのではないでしょうか。
日本では「ハレの日」としてお茶室に「赤の毛氈(もうじゅう)」を敷いているのを見たことがあるかと思います。
そのため、私たち日本人にとってもアフガニスタンの赤の絨毯は和室、洋室を問わず使い勝手がよい絨毯と思います。